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◆ ペンギンはいつ出現(しゅつげん)したのか? ◆

 ペンギンの原型(げんけい)と言える、 (げん)ペンギン(プロトペンギン) は、5~6千万年前(新生代第三期暁新世(しんせいだいだいさんきぎょうしんせい))のニュージーランドの地層(ちそう)から発見されている。
  化石などの物的証拠(ぶってきしょうこ)として確認されているものとしては、最古の「ペンギン類」である。
  「ペンギン類」は白亜紀(はくあき)の1億4千万年前~6千万年前に発生・進化したと推測(すいそく)される。

 しかし、それはあくまで「ペンギン類」の発生であり、「ペンギン」と呼べる真のペンギンの化石は、約4500万年前の第三紀始新世末期(だいさんきししんせいまっき)の地層から見つかっている。
  DNA分析(ぶんせき)、化石情報のどちらも、現ペンギンの発生(分岐(ぶんき)はその頃であると示しており、4680万年前と見られる。


 「ペンギン」が出現した同じころ、北半球では、ウミガラスも出現しており、南北両半球で、それぞれに同じペンギン型の海鳥が現れている。
  また、同じ地層(ちそう)年代に、北半球で「クジラ類」があらわれた。

 ペンギンもかつては大型種が多かった。
  ペンギンが発生した当時は、ほぼ同じ時期にイルカやアザラシも発生しており、海中で同じ生態的位置(せいたいてきいち)(ニッチ)を占める同程度の大きさ同志では、かつての大型ペンギンに分が無かったと言う見方が主流(しゅりゅう)である

 ペンギンの大型種が生き残るのには不都合(ふつごう)で、今の大きさになって適応していった、と思われる。

 ペンギンの起源(きげん)については、ウミガラスやモグリウミスズメのような海鳥から進化したものである、というのが大方の見方である。 (ウミガラスやモグリウミスズメから進化したのではなく、その共通の先祖からである)

 ペンギンは、ニュージーランドで発生し、南極大陸をかこむように時計回りに分布域(ぶんぷいき)を広げていった。

【補足】
2007年南米ペルーで、ペンギン化石史上の大発見があった。(アメリカ・ノースカロライナ州立大等の国際チーム発表)
新種の超大型と大型のペンギンで、超大型はすでに発見されているジャイアントペンギン並みの大きさと推定(すいてい)される。
これまでのペンギン史の通説(つうせつ)では、ニュージーランドで発生したペンギンが、南極周りから温暖地域へ進出したと考えられているが、今回の発見はその説を覆(くつがえ)すものとなりそうだ。進化適応しながら分布域を広げていったペンギンの、これまでの説よりも、ペルーへの到達(とうたつ)が早すぎ、しかも暑さに極度に弱いはずの超大型種が熱帯に生存していたことになる。
今後の研究解明(けんきゅうかいめい)が期待される。
なお、一般に同じ種の動物ならば、寒冷地ほど身体が大きく熱帯に行くに従って身体が小さくなる傾向がある。これは「ベルグマンの法則」と呼ばれている。身体が大きくなるほど身体から熱が逃げにくくなる。
今回のいくつかの記事では、熱帯で超大型種のペンギンが見つかったのは、この法則には沿わない発見でもある、みたいに書いているが、現存のペンギンの分布を見ても、すでにベルグマンの法則とは矛盾(むじゅん)しているので、法則に沿わないことに関してはそれほど驚くことではない。


ペンギン進化分岐

 現生(げんせい)ペンギンの中で、最も原始的な形質(けいしつ)を残しているのがコガタペンギンである。
  飛翔性(ひしょうせい)から潜水性に変化するにしたがって、脚(あし)の位置が後ろがわに後退し、地上では直立の姿勢に近くなる。
  現生ペンギンでは、エンペラーペンギン属が最も直立の度合いが高く、コガタペンギンは前かがみになっている。
  その他の外見上の特質(とくしつ)や、DNAや化石による考察(こうさつ)からも、コガタペンギンが最も原始的なタイプであることがわかる。

 現生ペンギンの分岐(ぶんき)については、シブリー(Sibley)とアールキスト(Ahlquist)らの研究により、上図のような分岐が起こったことが明らかになった。
  コガタペンギン属は、上図のように、エンペラー、アデリー、キガシラ、フンボルトペンギン属を、次々に分岐させ、最も古い形質を保ちつづけている。

マカロニペンギン属の分岐についての資料が無いので不明だが、恐らくアデリーペンギン属が分岐した後から、キガシラペンギン属が分岐する前までの間と思われる。


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