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◆ ペンギンの身体  2 ◆

●水陸両用(すいりくりょうよう)の眼

 以前は、ペンギンの目は水中に適応(てきおう)していて、陸では近眼(きんがん)である、と言われていた。
通常、水中での視覚(しかく)に適した目は、空気中では角膜(かくまく)による光の屈折(くっせつ)が強くなり、網膜(もうまく)の手前で像をむすんでしまって、近視(きんし)になる。
  しかし、ペンギンは水中でも空気中でも、どちらでも正常な視覚を持つことが確かめられた。

 比較的(ひかくてき)平らな角膜と強力な「調節機構(ちょうせつきこう)」のために、ペンギンの目は水陸両用となっている。

 ペンギンは、前方部分で視野(しや)の一部が重なっているため、前方を左右両目で見て、位置や距離感(きょりかん)を正確に把握(はあく)できる。


●羽毛(うもう)

 飛翔性(ひしょうせい)の鳥類の羽毛は、揚力(ようりょく)を生むために左右非対称(さゆうひたいしょう)になっている。

羽毛イラスト
▼キングペンギンの羽毛 (Photo by ぴきょい)
ペンギンの羽毛

 ペンギンにはその必要がなく、左右対称形(さゆうたいしょうけい)で高い密度(みつど)で生えて身体をすき間なくおおっている。。羽弁(はべん)にはカギ状の突起(とっき)が無数についており、ぬれたり水圧(すいあつ)がかかると、突起がからみあって、一枚の布のようにつながる。

ペンギンの毛皮

 ペンギンの若鳥は、羽毛が生え出すと羽づくろいを始める。
羽毛の乱れを直し、最高の防水性(ぼうすいせい)を発揮(はっき)するために欠かせない。
尾のつけ根に尾脂腺(びしせん)があり、そこからの分泌物(ぶんぴつぶつ)をくちばしにつけて身体中にぬる。


●塩類線(えんるいせん)

 ペンギンが頭を細かくふって、その先から水分が飛ぶことがあります。
あれは、塩類腺と呼ばれる器官(きかん)から排出(はいしゅつ)された濃縮(のうしゅく)された塩水です。

 海鳥であるペンギンは海水を直接飲んだりもします。
ところが、そのままの濃度(のうど)ではもちろん濃(こ)すぎます。
  それをこしとって塩類腺から体外に排出しているのです。
  塩類腺は、頭蓋骨(とうがいこつ)の目の上の部分にあり、表に排出(はいしゅつ)するときは、鼻孔(びこう)を通じて出します。

 ウミガメが排卵(はいらん)中に涙を流すシーンが有名ですが、あれは当然涙なんかではない。
ウミガメの塩類腺は目のところにあり、濃縮された塩水が排出されると、いかにも涙を流しているように見えます。

塩類腺図


●なぜツートンカラーなのか?

 ペンギンがあのように黒い背中と白い腹のツートンカラーであるのは、保護色(ほごしょく)のためと言われてきた。 海にもぐっているペンギンを上からねらうものからは、背中の黒は深海(しんかい)の色にまじり、ペンギンの下からねらうものからは、腹の白さは海中では海上の光にまぎれるという理由である。
  しかし、どうやらそれだけではないことが分かってきた。近年の研究では、ペンギンが獲物(えもの)をとる時の「脅し効果(おどしこうか)であるというのが有力(ゆうりょく)だ。

 小魚類は、捕獲者(ほかくしゃ)から身を守るため、一塊に群れている。
この状態ではなかなか手出しはできない。
  ペンギンは魚をとる時、魚群(ぎょぐん)を追い込んで小さく密集(みっしゅう)させてから、その中に突っ込んだり、自分の姿を見せて群れを攪乱(かくらん)させてとるという方法を使う。
  実験では、フンボルトペンギンのような、見事なツートンカラーの模様(もよう)を魚群に見せると、魚はパニックになる事が分かっている。


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