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◆ なぜ南半球にしかいないのか? ◆

 「ペンギン=南極」のイメージが強いかと思います。堂々と、「ペンギンは南極(大陸)にしかいない」と書いている書籍(しょせき)もあったようです。
  もちろんそれはまちがいで、全17種のペンギンのうち、南極大陸で繁殖(はんしょく)しているのは、エンペラー、アデリー、ジェンツー、ヒゲ、マカロニの5種である。(近年、マカロニも南極半島域で繁殖するようになった)

 このうち、南極大陸だけで繁殖をしているのは、エンペラーのみ。大陸に限定せずに、亜南極(あなんきょく)まで範囲を広げると、当然種類は増える。

 最も多くの種類のペンギンが生息するのはニュージーランドで、最北端(さいほくたん)は赤道直下(せきどうちょっか)のガラパゴス島だ。化石ペンギンが最も多く見つかるのもニュージーランドで、古代ペンギンと現ペンギンの分布域(ぶんぷいき)はほぼ一致している。
  発生と分布の仕方を検証(けんしょう)すると、ペンギンはニュージーランドで発生し、南極を取り囲むように、時計回りに分布を広げていったと考えられている。
  なお、ペンギンは寒い環境でしか生きられない、という誤解(ごかい)もなされているが、赤道直下出身のガラパゴスペンギンなどは、飼育(しいく)されている日本の冬を乗り切るためにストーブにもあたる。


 ペンギンは一般に南半球にしかいないと言われている。
  しかし、正確にはただ一種、ガラパゴスペンギンがわずかに北半球にはみ出して生息している。
  これは、ガラパゴスペンギンの生息するガラパゴス諸島が、赤道直下に点在する島々であり、その中のイザベラ島北部のアルベルマーレ岬が、わずかに赤道をこえているからである。(回遊(かいゆう)中に一時的に北半球にはみ出す個体もいると思われる。)

 そういう意味では、厳密(げんみつ)には南半球にのみ生息しているとは言えないが、それを承知(しょうち)で「南半球の海鳥」と表現されている。

 海鳥とは「えさの一部を海から得ている鳥類」を曖昧(あいまい)に定義しているが、100%海から食料を得ているペンギンは、最も完全な海鳥と言える。
  ペンギンは、南極大陸から発生する寒流の流れる地域にのみ分布している
  南半球の寒流(かんりゅう)の中で進化し適応(てきおう)していったため、寒流の流れが赤道を超えない以上、ペンギンは自然の状態では北半球に進出できないと考えられる。 この南極大陸から流れ出る寒流は、冷たく、しかもペンギンのエサを豊富(ほうふ)に含んでいる。
  赤道直下のガラパゴス諸島はこの海流>(かいりゅう)の末端(まったん)に位置している。(フンボルト海流)


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